健康で美しい体をつくる「美コア」メソッド

スレンダーボディに、ほどよく美しい筋肉がついた山口絵里加さん。そしてハスキーボイスにはつらつとした表情、屈託のない笑顔からは充実したライフスタイルであることが想像できます。そんな彼女のボディラインやライフスタイルに多くの女性が憧れて、彼女の提案する「美コア」メソッドに注目。そもそも「美コア」はどのようには誕生したのでしょうか。

「ふと街を見わたしてみると、歩き方が美しくない女性が多いことに気づきました。せっかく素敵な洋服に、かっこいいヒールの靴を履いているのに台無し…。さらには、多くの女性のクライアントに接するなかで、とにかく体が冷えている人が多いこと！　これらは骨盤の使い方や自律神経の乱れ、運動不足、栄養バランスの偏りなどさまざまな原因があるのです」

こうした現状を目の当たりにして、黙ってはいられないのが山口さんの性分。そこで試行錯誤した結果、生まれたのが「美コア」なのだそう。
「美コアは生活習慣のバランスを整えて健康で美しい体に仕上げるメソッドで、コア（体幹）トレーニングをベースに、生活習慣と食事の改善を目指すものです。それによって、体温を1℃上げることが目的。体温が１℃上がれば、免疫力は30％アップ、基礎代謝は１２％アップし、病気をしづらい、太りづらい体になります」
　では体温を1℃上げるにはどうしたらいいのか、その大きな要素となるのが細い筋肉をつくること、これがコアトレーニング。
「私の行っているコアトレーニングは、３つのタイプのサーキットトレーニング。初級クラスは「デトックス」。体幹を鍛えることと呼吸を意識することで柔軟性のある体にします。次に中級クラスは「バランス」です。骨盤のゆがみをとってバランスのいい体にするのが目的。上級クラス「シェイプ」で筋肉強化をメインに行うため、ガンガン動きます。だから30分のレッスンとはいえ、きついですよ（笑）」
　これらのプログラムを医師や看護師、柔道整復師など7人のスペシャリストの意見をもとに組み立ているのが「美コア」なのです。

レッスンでの一体感が楽しい

実際に山口さんのレッスンを受けている方は、健康になりたい、運動を習慣にしたいというよりボディメイクを目的なのだそうです。もちろん、スポーツのパフォーマンスを上げることを目的にしている人も。
「細いけれどちゃんとくびれがあったり、引き締まった体を求めているので、結構ストイックな方が多いんですよ。そういったみなさんの要望に応えるために、レッスンでは『SUUNTO 3 FITNESS』を使っているのです。この時計にはエクササイズモードがあり、そのなかのサーキットトレーニングを選んで、30秒ごとに時間を区切るように設定します。上級の「シェイプ」のクラスでは、170まで心拍数を上げることを目標に動きます。心拍数170を想像できますか？　思っている以上にキツイです。ゼーゼーハーハーなります。これが脂肪がより効率的に燃えて、筋肉がつきやすいベスト心拍数！　こうして数値化することで、〝自分は案外追い込めているんだ〟とか〝もっと追い込める〟というように頑張る目安が明確になるので、レッスンはさらにヒートアップするのです」

山口さんが『SUUNTO 3 FITNESS』やこの前身の『SUUNTO SPARTANシリーズ』を使い始めると、多くの生徒さんも同じように時計を持ち始めたそうです。それによって、自分の目標が明確になり、効率よく目標を達成できている方が多いのだとか。
「ボディラインを整えるには、半年くらいはかかりますが、ゆがみをとるだけなから90％の方が２～３週間で実感してくれています。こうして自分のレッスンレベルを数値化することで、お互いに刺激を受けるし、レッスンには一体感が生まれ、自分のステップアップのためにみんなが必死になっている姿を見るのが楽しいです」

地道な努力をし続けることがステップアップにつながる

生徒さんにとってのステップアップが、自分が理想とするボディラインに近づくことなら、山口さんにとってのステップアップは何なんだろうか。
「生徒さんが満足してくれるために、どれだけ地道な努力をできるかなんです。だから当然のことながら、私の生活習慣が整っていないといけないわけです。そのために『SUUNTO 3 FITNESS』は今や欠かせない存在。なぜならこの時計が、トレーニングのログをとってくれるだけでなく、睡眠の質やストレスの度合いまでをも教えてくれるからなのです。生活習慣の何を改善すればいいのか、どんな食事をとったらいいのかが明確になり、私の生活習慣・食生活は日々よくなりますから」
　実は今までの生活で腕時計をはめる習慣はなかったという。
「時計はスマホがあれば十分、もし、時計をはめるとしてもファッションの一部。ランニングやスイムをする人と違って、タイム計測をすることが少ないスタジオレッスンでは私と同様にはめていない人が多いんですよ。しかも機械音痴で面倒くさがり……。だから自分で設定して、パソコンにつないでデータを見たり分析するというのが性には合わないような気がしていたんです」
　ところが今では『SUUNTO 3 FITNESS』を使い始めてほぼ24時間はめているという。はずすのは充電するときだけなのだそう。それは操作が簡単だからなのです。

ストレス度が高いときは意識的にスローテンポに

よい生活習慣を心がけているからとはえ、コンディションが必ずしも一定というわけではありません。眠れない日もあれば、ストレスを感じる日もあるのは当然のことです。そんなとき、どのように時計の数字を分析するのか……。
「睡眠ですと、ディープスリープといって熟睡できている時間がどれくらいあるのかが表示されます。私の場合は２時間前後だと、頭も体もすっきり、よく眠れたという感覚があるので、この数値を目指すようにしています。反対に睡眠の質が低いときは、飲みすぎてしまったとき(笑)。ディープスリープは1時間きっていて体はだる重といった感じ。こういう日は、焦らず時間に余裕をもってスローテンポで動くようにしています」
　こうして自分に無理させないことで、うまくコンディションづくりをできるようになるのです。
「よく眠れるように、食事の質を変えることもあります。例えばトリプトファンというアミノ酸を含む食品を積極的に食べるようにしています。これは、リラックスホルモンといわれるセロトニンの材料になるため、体を休息状態にしやすく、質のいい眠りをするための助けになるからです」
ではストレス度が高いときはどのように解消しているのでしょうか。
「アロマをたいたりして、できるだけリラックスできる環境をつくるようにしています。だから決して無理しない。自分の体調を数値で把握できているからこそ、自分の体や心に適切にブレーキをかけられ、休息することもできるのです」

日常生活の中で自分を励ましてくれる相棒

24時間、ほとんど肌身離さず時計をつけているので、レッスンや睡眠、ストレス度合をしる以外にももちろん活用している山口さん。
「自宅からスタジオまで自転車で通勤しているのですが、そのときはサイクリングモードにして心拍数を計っています。もう少し早くこげば脂肪がしっかり燃える心拍数まで上げられるなと、追い込む目安になります。また、1日1万歩を歩くことを日課にしいるのですが、これはなにも設定することなくわかります。そして１万歩クリアすると「WINNER!」と時計に表示されるんですよ。秘かに嬉しく、こっそり私を励ましてくれているんです。朝も起きると「おはようございます」という表示が出て、まるで小さな同居人のようなトレーナーのような相棒のような存在」
　生活習慣を改善というと、食生活、適度な運動は当たり前と誰もが思うでしょう。実際に、フルーツはお肌にいい、色の濃い野菜は老化防止になると積極的にそれらの食材をとっている人もいれば、スーパーフードといわれるものにこだわっている人もいるでしょう。もちろんそれも大切ですが、それよりも今の自分の体調には何が必要なのかを知って補うことのほうがもっと重要という山口さん。
「今までなんとなく体によさそうだから、やせるって聞いたからといって食べているものだけが食生活の改善への近道ではないことをこの時計は教えてくれます。運動も、1日30分、歩けばいいといいうわけではありません。体を引きしめたいのなら脂肪を燃やせる歩き方を知らなければせっかく時間を費やしても効率が悪いだけ。こうしたことを数値化して、なにをするべきかの判断材料がみつかる、こんな頼もしい相棒は他にはないですね」

世界中の女性を幸せにしたい

多くの女性から支持されている「美コア」ですが、山口さんにとってはこの普及はまだまだ夢の途中。
「私の夢はずばり、美コアを世界中の女性に広めることなんです」
　仕事だけではなく、買い物も、コミュニケーションもパソコンでできる時代です。そして家事の一部はロボットがしてくれたり、駅にはエスカレーターやエレベーターが多く設置されていて階段を使う機会が減っています。便利とは引き換えに、体を動かさない生活にどんどん拍車がかかっていることに誰よりも危機感を覚えているから。
「これではいけない、みんなそう思っているのに、便利なほうに体も心も流されていくのが現実。そんな生活にヘルスプロモーションをかけていくのが私の使命なんです。それが美コアの肝である体温アップのプログラムなのです。とにかく今女性を健康にしたい、その一心です。体温アッププログラムは、体調不良や病気への予防。体調を崩してから、病気になってから治療をするのではなく、予防のほうが大切なんです。美コアを広めてどんどん女性がきれいに元気になる姿を早く見たいですね」

Interview & Text: MIE MINEZAWA
Photographer: TAKAAKI MIURA（スタジオ撮影のみ）